「温故創新」190806 N294 伊波喜一

広島に 原爆投下 74年 愚かな戦さ いつまで続くと

 広島に核兵器が使用されて74年目を迎えた。死亡及び被爆した人は50数万にのぼると推定されている。実際に後遺症に苦しむ人達を含めると、膨大な人数になる。 知人に、被爆の後遺症と向き合っていた人がいた。筆舌に尽くしがたい思いをしていたにもかかわらず、その表情はいつも穏やかだった。辛酸をなめ尽くしたであろうに、微塵もそのことを感じさせなかった。一本芯の通ったあの強さは、一体どこから来るのだろう。死と向き合い、それを超克していくのは並大抵のことではない。他を恨み、人生そのものを恨んでもおかしくない。余程の信念と覚悟がなければ、平常心で生ききることは出来ない。この知人と同様に、被爆者やその遺族・家族は苦しんで生きてきた。だから、人の人生を根本から狂わせる原爆は、悪魔の兵器と呼ばざるを得ない。 その教訓を生かせず、愚かにも核実験は減るどころか加速されている。しかし、想像してほしい。核兵器で相手を殺して得られるものを、果たして勝利と呼ぶのだろうか。そうではなく互いに言い分を調整し、共に栄える中にしか地球の未来はない。不信と武力の行使からは破壊しか生まれないのだ。