「温故創新」210407 N719 伊波喜一

人生に 正解はない 試行して 共感力は 柔和な心に

  窓外のケヤキが薄緑に色づいている。その柔らかい葉が日ごとに色を増している。一体いつの間に、こんなに色づいたのだろう。自然の生命力に感嘆させられる。 

 若き友人から、退職する旨の葉書をいただいた。今しばらく子育てに専念し、いずれは職場復帰したいとのこと。可愛い盛りの子どもに、後ろ髪を引かれたのかも知れない。 

 時として人は、いくつかの岐路に立つ。どちらを進んだらよいか思い悩んでも、なかなか結論は出ない。しかし、2つの事を同時にすることは出来ない。

 結果として、どちらかを選ぶことになる。後から振り返ってみると、その時点で尽くしたベターそれ自体がベストとなっていることが、往々にしてある。 

 花は柔らかく、傷つきやすい。敏感なままのその心を隠さず、衒(てら)わず、気負わず咲かせ続けるから美しい。 

 人の心も花と似ている。いくつになっても、迷い、悩む。迷い、悩むからこそ、見るものや触れるものの心に寄り添える。

 人生はその繰り返しともいえる。自分だけの悩みではなく、相手と共に悩み、解決していく。そして、自他共に幸せになる。 

 悩み、もがき、苦しんで初めて、人の心を知ることが出来る。だから、人って素晴らしい。

「温故創新」210406 N718 伊波喜一

晴れの日を いつも見守り 幾歳か 桜に思い 重ねゆかんと 

  昨日の風雨に残った桜の花びらが、風に揺れている。

 昨夕からの冷え込みがまだ残っていて、今朝はコートやジャンパーで厚着している人達が目立った。 

 小学校の入学式が本日行われた。今日のこの日を、特別な思いで待ちわびていた保護者も多いのではなかろうか。

 昨年から続いているコロナ下で世間は翻弄されているが、桜は泰然として変わらない。大地に深く根を下ろし、幹を太く、枝を張り続ける。嵐にも灼熱にも寒風にも屈せず、微動だにしない。変わらぬ風景がそこにはある。

 その桜の下で記念撮影する人達の姿が、目に浮かんでくるようだ。 

 知人から、青梅市の桜並木の動画が送られてきた。強い風に桜の花びらが散ってゆく。これでもかと桜吹雪が続いている。贅沢なひとコマである。

 贅沢といえば、桜湯に桜餅を食するのも愉しみの一つである。旬の桜の素材を活かし、客をもてなす。どこにでもある素材が、一期の思い出を成す。 

 桜の4月に花見した思い出はそこはかとなく、歳月を経てもなお鮮やかである。若かった当時、鬱積した思いを抱えながら、小径を逍遥したその時の靴底の感触までがよみがえる。

 まさに桜ならでは情景である。桜の魅力に抗することは難しい。

「温故創新」210405 N717 伊波喜一

イノシシで 豚熱拡大 接触が 人と同様 禁止難し

  雨交じりの一日だった。午後からは風も出て、コートが必要なぐらい寒かった。この気温差が体調を狂わす。油断大敵である。野生イノシシ3238頭に、家畜伝染病や豚熱への感染が確認された。このイノシシが運ぶウイルスが、野生動物を介して飼育豚に感染する疑いがもたれている。

 豚熱は26年ぶりに、岐阜県の養豚場で発生した。今年1月に和歌山県、3月末には奈良県など、12県の養豚場で発生している。

 3月17日時点で陽性率は大阪府が28%、長野県23%、岐阜県22%の順になっている。ただし、検査実施数が大坂は25頭、長野は1114頭、岐阜は5331頭とばらつきが見られる。

 農水省自治体に、豚熱を早く見つけるためにも、検査数を増やす必要があるとしている。

 対策として、ワクチン入りのエサを定期的にまくことや、侵入を防ぐ柵やネットの設置を呼びかけている。

 しかし、野生動物の生存本能はヒトの想像を絶する。

 福岡の里山で農業を営んでいる知人曰く。「イノシシが根こそぎ食い荒らすので柵を設けたところ、柵の下を掘って侵入してきた。そこで高圧電線を張りめぐらしたところ、ぴたっと侵入が止んだ」。

 時間と根気とお金をかけなくては、根本的な対策にならない。

「温故創新」 210404 N716 伊波喜一

将来の 夢語るかな 子ども達 警察官と ケーキ屋さんに

  動くと汗ばむが、木陰にいると肌寒く感じる。4月は、着るものの調整が難しい。 

  今春入学する新1年生に、将来就きたい職業をクラレがアンケート調査した。

 男子の1位は17%が、警察官を選んだ。女子の1位は26%が、ケーキ屋・パン屋さんを選んだ。男子の2位、3位はスポーツ選手、消防・レスキュー隊となっている。女子の2位、3位は芸能人・歌手・モデル、看護師となっている。 

 ちなみに男子の1位警察官は、女子では6位となっている。女子の1位ケーキ屋・パン屋さんは、男子では9位となっている。男子は職務内容が人や事柄と関係することに、興味を持っている。4位の運転士・運転手など、同様の傾向が見られる。 

 女子はズバリ、食べ物などの味や見た目に惹かれやすい。4位、5位の花屋、アイスクリーム屋など、具体的で分かりやすい。 

 男女のこの傾向の違いは、これまで担ってきた社会的役割と無縁ではない。同時に、衣食住に関わることに女性は鋭敏に反応し、力を発揮する。その萌芽が小学校入学以前から芽生えているのは、興味深い。

 男女のこの個性の差を尊重し、組み合わせれば大きな力となる。

 アンケート調査の結果から、日本社会に今求められていることが垣間見えるのは面白い。

「温故創新」 210403 N715 伊波喜一

入社式 対面復活 今年から 試行錯誤の 結果いかにと

  日本列島は南から天候が崩れている。沖縄は大雨で、土砂災害や河川の氾濫が報じられている。大きな被害のないことを祈りたい。 

 昨日は全国で入社式が行われた。オンラインを活用しながら、対面式を復活させた企業が目だった。

 社長と新入社員一人一人が、一定の距離を保って対話する「個別入社式」を行ったところもある。 

 また社長以下の役員が1階で、初出勤する新入社員を出迎えたところもある。スタッフが大型モニターで出迎えるなど、臨場感の創出に心配りをしていた。

 新入社員代表は「このような状況下だからこそ、人と人とをつなぎ、新しい価値を創造していかなくてはならない」と決意をのべた。 

 コミュニケーションツールの活用の仕方は、この2年間で大きく変わった。今までITCに縁遠かった筆者達世代も、便利さに重宝している。同時に、直接会ったり話したりすることの大切さも、実感させられている。 

 人の人たる所以は、直接触れ合うことで五感を刺激するところにある。古今東西、国や民族を選ばず、この原理は変わらない。

 謦咳に接することで、新人達は何を思っただろう。その真価が問われるのは、半世紀を経る。

 種の開花を焦らせては、ならないのだ。

「温故創新」210402 N714 伊波喜一

コロナ下に 世界で格差 広がりて 男女平等 120位かと

  いつの間に、開いたのだろう。木々の若葉がやわらかい。

 曇天の下、新緑が心もとない。陽に当たると、溶けてしまいそうな感じがする。

 しかし、陽に晒されているうちに、強く逞しい葉に変わる。自然は逞しい生命力で、生きている。 

 世界経済フォーラム(WWF)は、世界各国の男女平等実現の実態を発表した。日本は156カ国中120位と低迷している。

 「男女格差報告書」は、教育・健康・政治・経済の4分野を対象に評価している。教育へのアクセスや政治家や閣僚の数、賃金などの男女差を比べ、完全な男女平等を100%としている。

 世界ではアイスランドが89%と、最も男女平等となっている。

 フィンランドノルウェーニュージーランドが上位4カ国を占めている。これらの国は、女性が首相を務めている。

 日本は65%で、世界平均は67%だった。 

 世界全体では教育や健康は男女平等に近づいているが、政治や経済では大きく差がついている。日本はこの点、後塵を拝している。

 政治は男性目線で発想し行うため、根回しや談合、酒の席を借りることが常態化する。 

 その点、女性は実利的な視点を持ち、無駄を嫌う。女性登用は、日本の政治と経済に風穴を開ける。

「温故創新」210401 N713 伊波喜一

心身の 健康保持に 気をつけて 長い人生 あまり急ぐな

  ここのところ、風が強く吹いている。

 その風に乗って、中国から黄砂が飛んでくる。何千キロも離れたところから、風に乗ってやってくる。人知の及ばない自然の力に、脱帽する思いだ。 

 今日4月1日から、フレッシャーズは社会人としての新生活が始まる。これまでと違って、これからは社会的責任が常に付きまとう。

 自由で気楽な生活から組織に拘束された生活へと、その変化の大きさに戸惑うことが多いと思う。

 加えて、仕事のノルマや様々な責任が常について回る。上司や同僚との接し方にも気を遣う。顧客とはさらに神経を遣う。

 肝心の仕事内容も、これまでやってきたことの延長にあることとは限らない。ゼロからのスタートである場合だってある。 

 結局、己の限られた経験値で予想しようにも、現実の課題は複雑で多岐にわたる。それが社会の実相である。だから、あくせくするより、なるがままに身を任せる方が良い。

 これからの生活は、40年・50年と続く。途中で何が起こるかなど、誰にも予測できない。考えすぎて歩みを止めるより、目の前の今を丁寧に、確実に踏み固めていく方が良い。焦らず慌てず、自分の歩幅を忘れず、歩んでゆくことを願う。 

 見上げた空に、新緑が眩しい。フレッシャーズと重なって見えた。