「温故創新」230731 N1244 伊波喜一

原爆の 被害認識 現実を 米国世論 変わりゆくかな    

 朝晩はわりに涼しいが、日中は蒸し暑くてたまったものではない。サクランボの脇に植えたトマトが、1個実を生らせた。暑い陽射しが、最高の栄養なようだ。実が甘い。

 1945年、日本との戦争を終結させるために、米国は広島と長崎に原爆を投下した。米国はこれまで「原爆投下により日本の降伏を早め、日本本土侵攻で多くの米兵の犠牲が出るのを防いだ」と、正当化してきた。当時の日本の国力や守備の劣勢、戦争遂行能力からして、この主張には矛盾がある。 

 1995年にスミソニアン博物館は、広島に原爆を投下したB29爆撃機エノラ・ゲイ」とともに、広島と長崎の被爆資料を展示する原爆展を企画した。だが、退役軍人などから「原爆投下の正当性に疑念を抱かせかねない」として、企画が撤回された経緯がある。

 時を経て、1945年に原爆投下を「支持」するは85%だったが、2015年には「正当だった」が56%にまで下がった。

 これを受けて同博物館は、原爆投下後の街の様子のみを展示するとしている。被災者の様子は展示しないなど、展示内容には制限がかかっているが、時間をかけて公開していく方針のようだ。

 本来、公共の博物館は、国内外の訪問者のためのものである。一方に偏らず、事実を伝えていくことが使命である。様々な障害はあるだろうが、多様性を持たせていく場でありたい。