「温故創新」230401 N1202伊波喜一

毎日の 些事に追われて くるくると 目標定めん 牛歩進めん

 就職して以来44年ぶりに、4月1日をゆったりと過ごしている。自分の時間を持ちそれを使えることは、何ものにも代え難い。限られた時間を何のためにどう使うのか、迷っている暇はない。

 そのためには、心身ともに健康であらねばならないことを実感する。食生活や家族関係、対人関係などとどう向き合い、上手にコントロールしていくか、慎重に考えていかなくてはならない。

 現役世代は、そういう事を考えている間もない。時々細々に追われ、先々の心配ものしかかってくる。自身の事もままならない中で、家族や身の回りに心配事があると、集中して力を発揮できない。

 短い一生のようだが、人生はやることが背中を押してくる。第1期は自身に適した仕事を得るため、自己に投資をする。学び、励める唯一の時だが、残念ながらその時には気づかない。

 それから第2期の子育てが始まる。独り立ちさせるまでが、親の役目である。だが、様々なストレスが覆いかぶさり、昔のように親元を離れたら独立とはいかない。そして第3期の親の看取りである。仕事が現役であるうちは、親の話もゆっくり聞いてあげられない。社会のあり様や機構が変わらないうちは、この状況は変わらない。最後に第4期の終活がやってくる。残された時間は、ごく僅かである。

 このように人の一生は、あとからあとからやることが追いかけてくる。今の内から、その段取りと身仕舞いの有りようを考えておきたい。