「温故創新」220601 N1046 伊波喜一

行政と 新聞社との 連携に メディアの倫理 問い直さんや    

 昨夜来の突風に、夏椿の白い花が路上にこぼれている。勿体ないぐらい、鮮やかな白色だ。まだまだ、これから鑑賞できるのにと思うが、椿は惜しげもなく花を散らせている。

 その花の甘さに惹かれるのか、アリたちも寄ってくる。人が愛でるだけでなく、小さき生きものにも利をもたらす。自然の営みには、つくづく無駄がない。

 大阪府と読売新聞が、包括連携協定を結んだ。行政と新聞社とでは、その目指すところが異なる。報道機関は本来公権力から距離を置き、行政から独立した機関でなくてはならない。

 日本のマスメディアそのものの成立も、公権力に対峙するところから生まれてきた。名もなく力なき庶民に代わって公権力の横暴を暴き、世の中の歪みを是正する。強大な権力に対して、モノ申す。それがメディアの使命である。

 その本命を忘れて、スクープ合戦に現を抜かすならば、もはやメディアの役目は終わったと言ってよい。

 権力側に紐づけになれば、確かに必要な情報を得られるだろう。その見返りに、当局側に不利な事を書かないと誰が約束できるだろうか。忖度しないと、言い切れるだろうか。

 日本は、お上意識の強い国である。だからこそ、国の恩恵に謝しながらも、人権を守り抜く信念と気概を失ってはならない。