「温故創新」210901 N866 伊波喜一

その国の 歴史と文明 慣習を 無理押しせずに 染み渡らさん       

 朝、ガラス戸を開けると、体長3㎝ほどのバッタが網戸にしがみついている。全体がやわらかな黄緑で覆われていて、まだ子カマキリのようだ。

  毎年、南天の枝に卵を産みつけるが、そこから産まれてきたのだろう。それにしてもしっかりした足取り(?!)で、戸外へ飛び跳ねていった。 

 アフガンから米国が撤退した。ベトナム戦争撤退の二の舞を、米国は繰り返した。

 米国は理想を掲げて進む国である。民主主義を信じ、それを他に進めることを正義と考える。アフガンでも同様に進めてきた。しかし、民主化の強制では非民主国家の体制を変えることは出来ない。

 なぜならその国には、固有の歴史や文明がある。それは一朝にして成ったものではない。長い年月をかけ、ある時は衝突しある時は譲り、押したり引いたりしながら築き上げてきたものである。

 文化や生活、慣習に至っては、それこそ千差万別である。感じ方も考え方も、米国とは異なって当然である。

 そのことに対する理解が、米国は乏しすぎた。その国固有の文化や価値を尊重してはじめて、民衆の支持も得られるというものだ。

 取り残されたアフガンの民の権利を守り、タリバンへの抑止力を働かせるためにも、各国は安全地帯を設け、駐留軍を置きたい。