安房の地に 800年前 生まれたる 日蓮の声 聞こえぬるかな
朝から冷たい風が吹いている。低気圧の影響で、昨夜から大荒れの天気となっている。大きな事故につながらないことを、祈るばかりだ。
日本文学・文化研究科であるスペインのカルロス・ルビオ博士は、法華経と日蓮の御書をスペイン語訳している。
博士は現代における世界宗教の条件として、2点挙げている。
1つは「多様な文化への適応性」、2つは「平和・寛容・対話」という要素が含まれていることである。
最近の米国内や中国、ミャンマーの政情を見ると、この指摘は卓見である。
人の人たる所以は、協力して物事を成すところにある。一人ひとりの力はさほどでなくとも、協力して人智を集めることで足跡を残してきた。
人種や出身国、思想や信条が異なるのが、人である。むしろ、同じであることの方が不自然である。
その違いを認めた上で、どう互いの差異を埋めてゆくか。寛容な対話主義が求められる理由がここにある。
動乱の鎌倉期で日蓮は、「一切衆生の異の苦を受くるは、悉くこれ日蓮一人が苦なり」と断言した。佐渡流罪を始めとする弾圧に屈せず、国主には対話で諌暁し、在家の老婆には手紙で励ましを送った。
一人に焦点を当てた生き方が、今求められているのではなかろうか。