「温故創新」210728 N831 伊波喜一

農作の 要となるか 土づくり 人づくりにも 通じることと   

 台風8号は大雨をもたらした。カンカン照りが続いていたせいで、乾ききった畑地の地中深く、雨水が滲みこんでいく。山川の近くは、急な増水に気をつけてゆきたい。 

 中国黒竜江省で、黒土泥棒の騒ぎが起きた。腐葉土で出来た黒土は、食料基地を支える資源である。

 元々、中国人は食に貪欲な民族である。95年の改革開放により、中国の食糧需要は旺盛さを取り戻した。

 その黒土が、開墾による土壌流出や絶え間ない耕作によって痩せてきている。さらに、米国との貿易摩擦で米国産大豆の輸入が激減し、中国国内での食料確保に危機感が伴った。

 食糧増産で中国人の胃袋を満たさないと、彼の国は成り立たない。その食の基が土づくりにあることを、国は心得ている。

 そういう中での、土泥棒である。政府がマスコミを通じて、批判したのも分かろうというものだ。 

 中国では、食の確保が至上命令である。有史より、人民の胃袋を満たさなければ、氾濫が起きた。その危機感は、日本の比ではない。

 日本も食の生産性を上げ、自給率を高めておかないと、近い将来、食が確保できなくなる。

 その危機感をどう国民が共有していくか、それを国政にどう反映させていくか、議論を深めていきたい。