「温故創新」210703 N806 伊波喜一

お互いに 食を分かちて 栄えなん 和食文化の 良さに目覚めて                  

 昨夜の雨に濡れて、アサガオの紫とピンクが鮮やかである。手入れされた竹網につるを巻き付け、いくつも花を開かせている。

 花々を眺めながら、心の中で挨拶を返す。花はどうしてこうも、人の心を潤すのだろう。 

 2015年からの4年間で、飢餓に苦しむ人々が8千万人から1億3500万人へと70%も増加している。

 食料の供給量には変動がないが、紛争や乱開発、それにコロナが輪をかけた格好だ。人口増加に伴って、どう食料を供給するか。世界では害虫に強い種を開発しようと、躍起になっている。

 害虫に強い種は、他の弱小種を淘汰する。

 しかし1種のみがのさばる状態は、必ず歪が出る。自然のバランスが崩れると、環境を大きく破壊する結果となる。 

 和食は植物性食品で出来ている。種類も多く、栄養価も高い。何よりも素材が新鮮で、地産地消が出来るのが強みだ。

 道の駅などに行くと、宿場から宿場を繋いでいた往時の熱気もこうだったのだろうかと思えてくる。 

 作物を収穫するには根気がいる。手間暇をかけ、心を砕いてはじめて実が生る。

 「勿体ない」という思いを籠めて作物を育てる心は、万国共通である。和食の奥にあるこの心を、日本人こそ忘れてはならないだろう。