「温故創新」210525 N767 伊波喜一

ウイルスを 使って癌の 細胞を 攻撃できる 治療薬が           

 細い曲がり道を歩いていると、アジサイがこぼれるように咲いている。小ぶりだが瑞々しく、うすい紫や青、ピンクの花をのぞかせている。これから雨の季節に入るが、楽しみが1つ増えたような感じだ。 

 ウイルスを使ってがん細胞を破壊する治療薬が、承認される見通しとなった。厚労省の専門部会が、製造販売の承認を了承した。

 臨床試験(治験)では標準治療と比べて、1年後の生存率が6倍になるなど延命効果が確認された。 

 このがん治療薬は「デリタクト注」で、対象は脳腫瘍の一種「悪性神経膠腫」である。

 悪性神経膠腫は、脳内の細胞ががん化することで起き、代表的なものに「膠芽腫」がある。

 このウイルスは、ヘルペスウイルスの3つの遺伝子を改変している。ウイルスはがん細胞内でのみ増え、がん細胞を攻撃するように設計されている。正常細胞内でウイルスは増えない。 

 がん治療の難しさは、がん細胞を攻撃すると周りの組織も傷つき、肉体にダメージを与えることだ。脳内のデリケートな部位に至っては、なおさらの事である。

 今後、各部位のがん治療に適するウイルスが発見されると、画期的な医療方法となる。このように地道な研究を国は企業任せにするのでなく、長期ビジョンのもと継続して応援していきたい。