「温故創新」190921 N318 伊波喜一

責任の 所在曖昧 大惨事 たらい回しの 住民哀れ

 2011年3月の東京電力福島第一原発事故をめぐり、旧経営陣が業務上過失致死罪で強制起訴された。3被告ともに無罪と判決が出た。判決の骨子は3点ある。①国の「長期予報」で示された最大15.7㍍の津波予測には、具体的な根拠がない ②事故当時の知見では高さ10㍍の津波を予見できず、原発を止める義務はない

③事故前の法規制は、絶対的な安全確保前提としていない。だから刑事責任は問えない。 原発事故の1年前、JR福知山線脱線事故の調査報告書の中で、国は「たとえ発生確率が小さくても、万が一事故は起きて重大な人的被害が生じるおそれがある場合には、未然に事故を防ぐ対策を推進するべきである」としている。また「経営・設計・製造・マニュアル作成・管理・現場対応を貫く組織事故の中で、経営者の意思決定力が問われている」としている。これらは、原発事故にもそのまま当てはまる。 今回の判決で求められることは、責任の所在を明らかにするのは勿論のこと、地域住民を脅かしている原発に対し今後どうすれば安全でいられるか、その大綱を示すことではなかったか。 判決の先を見据えて、議を尽くしたい。