「温故創新」190814 N298 伊波喜一

人間の 価値とは何か 考えん 優生保護の 二の舞防がん

 失敗から学ぶ生き物が人間ならば、失敗から学ばないのも人間である。遺伝病の治療に効果が期待されているゲノム編集。現在のところ治療法がない遺伝病は、5千以上とされている。その親の遺伝子を受け継がせず、子どもの発症を防げるゲノム編集は、夢の治療法とも言える。政府の総合科学技術・イノベーション会議は、これらの手法をまとめた報告書を発表し、来春にも研究が出来ることになる。 ただ、プラス面だけではない。現在の技術レベルでは、書き換えミスが起きる可能性があるからだ。書き換えミスは子孫にも受け継がれ、新たに遺伝病の発症を生む。 併せて、優生保護的発想やエンハンスメント(能力強化)の傾向が内在している。優生保護の歴史は繰り返されており、新たな火種になりかねない。エンハンスメントもドーピングが形を変えたものであり、合法化された遺伝子操作になりかねない。 地球上に生を受けたということは、共生社会の一員としてが認めたということである。大事なことは、障害をどう捉え・どのような共生社会を目指すかである。倫理・宗教・医療・経済など、総合的知見を広く募るときではなかろうか。