「温故創新」201113 N589 伊波喜一

日米の 同盟強化 明言す 尖閣めぐる 対立激化

 澄んだ青空が広がっている。

 コロナ禍の影響でジェット機の飛来が減った分、世界中で空がきれいになっている。幼い頃の空を思い出す。

 菅首相はバイデン次期米大統領と、電話会談した。

 会談では、日米同盟を一層強化する重要性を確認した。

 その際、沖縄県尖閣諸島は、米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だと明言した。「自由で開かれたインド太平洋」の実現でも、連携する方針で一致した。 

 米大統領選の間隙を縫って、中国は尖閣諸島のいわゆる排他的経済水域に自国の船舶を航行させている。

 この海域にはレアメタルや漁場があり、中国・台湾が領有権を主張している。日中業業協定で定められた尖閣諸島北方では、すでに中国漁船の乱獲が始まっている。加えて、中国と日米の防衛上、なくてはならない地域である。

 日米トップ会談で尖閣諸島を防衛すると明言した途端、中国は自国の領土に対する干渉だと反論している。自国の艦隊による実効支配を目論む中国に対し、日米同盟を軸にインド太平洋地域で連携する日本と米国。現行の中国のやり方は強引だ。

 このような覇権国家に対して声を上げ、連携を強めていかかなくては、東アジアに安定は来ない。

「温故創新」201112 N588 伊波喜一

思いやり 持続可能な 未来をば 感染対策 環境守りて

 イチョウ並木の紅葉の散り際が早い。これから12月にかけて、一気に色づいてくる。

 記録によると、平安時代は11月から一気に紅葉が始まったとのこと。現代は地球温暖化で、12月が紅葉シーズンとなってきている。22世紀には1月に紅葉となるかも知れない。 

 第3波のコロナ感染が懸念されている。ウイルスが蔓延しやすい環境を変えない限り、この状況が繰り返される。

 例えば都市化による人口集中は、ウイルス感染を広げる。交通機関の発達も同様である。原生林を開墾して放牧し家畜化したことも、ウイルスの自然宿主を広げる結果となった。 

 こうしてみると、行き過ぎた環境破壊や文明拡大の利便性は両刃の剣である。欲望の追求は文明の発展をもたらした。それがグローバル化につながり、限りなく欲望を拡大した。 

 かつては村社会の不文律や道徳的規範、宗教的感化が、大きな影響を与えた。それらが失せた現代では、いかに欲望を抑えるかがカギとなる。 

 人は環境の中でしか生きられない。人と環境とは相互に関係している。欲望を追求するあまり環境を破壊すれば、その結果は全て人間に帰する。コロナ禍がもたらした代償はあまりに大きい。

 人類は謙虚さを求められているのだ。

「温故創新」201111 N587 伊波喜一

米国の 支配空洞 分極化 世界の秩序 作らんかなと

 空気が乾いている。世界ではコロナの感染者が、5千万人に達しようとしている。

 日本もこれから正念場を迎える。加湿と換気に留意したい。 

 バイデン氏の大統領就任で、米国の立ち位置が模索されている。

 世界の調停役としての機能を失ったとはいえ、米国は大国である。軍事でも経済でも、今なお大きな影響を与え続けている。 

 軍事ではアジアや欧州、中東は、戦略を見直さざるを得ない。これまで軍事を米国に頼り、経済優先を貫いてきた。

 しかしこれからは、自分たちの国や地域は自ら守らなくてはならなくなる。要はそのバランスである。 

 大国は自らを利するために、自分に都合の良いように基準を変える。その分、グローバルな責任を持つ。自域内で不利益が起きないよう調整し、相手陣営とはタフな交渉で味方を守る。 

 小国は一見、大国に翻弄されるように見えながら、大きな屋根の下でそれなりの利益を享受する。こうして、世界はしばし安定を保ってきた。 

 8年間の副大統領としての職務実績を活かし、バイデン氏が大国の責務である長期的な展望と大局観をどう示すか、世界は固唾をのんで見守っている。

 米国の持つ潜在的エネルギーと影響力は、まだまだ衰えていない。

「温故創新」201109 N586 伊波喜一

大統領 選挙の結果 異議ありて 勝利宣言 認めない人

 空気が乾燥している。室内の湿度が50%を切っている。コロナ対策には換気と加湿が有効なので、気をつけていきたい。 

 米国大統領選は、バイデン氏が勝利宣言をした。トランプ氏は選挙に不正があったとして、法廷闘争に持ち込んでいる

 今回1億6千万人が投票し、バイデン氏が7540万票を獲得している。一方のトランプ氏は7090万票を獲得している。

 この500万票差をめぐり来年1月まで裁判が続くとなると、国政がストップする。 

 バイデン氏はトランプ流の自国第一主義を排し、国際協調を基調としている。

 地球温暖化対策(パリ協定)やコロナなどの感染症対策、北朝鮮や中国、ロシアなど核兵器保持国との多国間交渉は、粘り強い取り組みが必要である。

 特に中国との関係は、軍事力で対峙するだけでは解決しない。環太平洋経済連携協定や教育・文化・芸術の交流を広げながら、中国の覇権主義を押しとどめる必要がある。 

 中東政策もあまりにイスラエル寄りの政策は、民族紛争を広げるだけに過ぎない。軍事力で抑え込むのではなく、相互の人権を認め文化を尊重していかない限り、和平は訪れない。 

 ソフトパワーをいかに上手に駆使できるか、手腕が問われる。

「温故創新」201108 N585 伊波喜一

皇嗣 皇位継承 順1位 国内外に 皇家の礼を 示す儀式と

 公園の木々が微かに揺れている。曇り空から薄日が差し込んできて、暖かい。公園の南天の実は、真っ赤に熟している。

 今日は夕方から夜にかけて、急速に冷え込むとの予報だ。 

 米大統領選は最終局面を迎えているが、まだ勝敗が決まっていない。ペンシルベニア州などの激戦区では、得票率の差が0.5ポイント超えていないと州法で票の再集計が行われる。 

 また、身分証の提示が出来なかった人達などの暫定投票も、数万人にのぼる。これ以上の混乱がないことを、祈るばかりだ。 

 今日、皇居で皇嗣宣明の儀が取り行われる。

 これは、秋篠宮様皇位継承順位第一位の皇嗣になったことを、内外に示す儀式である。当初は4月に予定されていたが、新型コロナの影響で延期されていた。 

 立皇嗣宣明の儀では、装束姿の天皇陛下秋篠宮様皇嗣を宣言する。続いて、秋篠宮様皇嗣としての決意を述べる。

 この儀式は、今の天皇陛下が皇太子になったことを宣言した立太子の礼にならった。招待者は当初の350人から、約50人に絞られた。 

 皇嗣継承をめぐる課題は、日本の今後の未来を映す鏡でもある。

 伝統継承と男女平等との折り合いを、どのように考えるのか。

 また、血統と多様性の兼ね合いをどうつけていくのか、結論を先送りにしてはならない。 

「温故創新」201107 N584 伊波喜一

食品の 廃棄燃料 飛行する CO₂を 9割減らし  

 起きがけにホットカーペットを入れたが、日中はYシャツ1枚でも暖かかった。陽射しが有難い。 

 「必要は発明の産みの親」とは、よく言ったものである。

 食品廃棄物由来のジェット燃料を給油した全日空機が、羽田ーヒューストン間を飛んだ。この燃料を開発したのは、フィンランドの製造会社で、全日空は5500トンを仕入れた。

 新燃料は食品加工の過程で捨てられる脂身などの破棄物を、利用している。既存の石油由来の燃料と比べ、9割もCO₂を削減できる。 

 これまで石油燃料に変わる代替エネルギーが、開発・発掘されてきた。太陽光や水素ガスなど、環境に優しいエネルギーを燃料化することは大事だ。

 同時に、安定した出力と持続力を持ちつつ、環境に優しいエネルギーが求められてきた。 

 新燃料が持続可能なエネルギーとなれば、これほど素晴らしいことはない。全日空では将来的に「地産地消が出来るように必要な支援をしていきたい」と述べている。

 観光産業の基幹となる航空業界は、このコロナ禍で再起できないぐらい痛手を被った。その渦中での新燃料活用である。

 「捨てる神あれば拾う神あり」 本来、捨てるものを生かし、環境に活かすことが出来れば、これほど素晴らしいことはない。

「温故創新」201106 N583 伊波喜一

疫病の 流行った時代 鎌倉の 食生活の 大事さ新た  

 薄曇りの今朝は心なしか暖かい。黄色く色づいたイチョウの葉が歩道に落ち、道端に固まっている。 

 鎌倉時代は疫病が国中に充満した。ワクチンもない中で、当時の人々はどのようにして免疫力を高めていたのだろうか。 

 果物と野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富である。脚気はビタミン不足から起こるし、ミネラルは骨や血液などを構成する。

 例えば、柿に含まれるタンニンには、ウイルスを不活性化する効果がある。ショウガには胃腸の消化や吸収を助け、血行を改善し、免疫力を高めることが分かっている。 

 米・麦・粟などの穀類は雑穀と呼ばれているが、胚芽も丸ごと咀嚼することで、バランスの取れた栄養を摂ることが出来る。イモ類の中でもサトイモ鎌倉時代にはジャガイモやサツマイモはまだ伝来していない)のヌメヌメには免疫力を上げ、粘膜を潤して細菌が侵入するのを防ぐ効果がある。 

 現代は咀嚼回数が600回程度だが、鎌倉時代は2600回もあった。唾液には消化酵素や抗菌成分が含まれているので、噛めば噛むほど口から侵入するウイルスの感染リスクを下げられる。 

 こうしてみると、何か特別なことをするより日日の食生活に気を配って生活することが、いかに大切か分かろうというものだ。