「温故創新」231010 N1314伊波喜一

積み立てた 基金だぶつき 使わずに 国民負担 16兆円     

 陽が昇る頃に、つがいの鳥が電線にやってきて、会話をしてゆく。

 非常用にと国が積み立てた基金が、だぶついている。その額、16兆円。これまでにも基金が作られた時期は、3回ある。

 バブル景気の1989年頃、リーマンショック後の2009年頃、東日本大震災後の12年頃である。景気が良くなって税収が増えた時や、緊急事態への対策を打つために、予算が膨れた時がそれに当たる。 

 予算内容は、経済安全保障重要技術育成基金やデジタル基盤改革支援金、グリーンイノベーション基金、革新的研究開発推進基金(ワクチン開発)など、重要な課題が並んでいる。

 しかしその執行率は、2%~39%と低く、基金の趣旨が生かされていない。これは、基金の使い道が十分に検討されておらず、予算が適切に使われなかったからである。

 また基金は、省庁など国の機関とは別の組織に置かれているので、国民や監督省庁のチェックが働きにくい。さらに、国会などを通じて、基金のお金の流れをチェック出来ていなかった。 

 これらの基金は、元をたどれば国民のお金である。国の支出なので借金となる。借金は当然返さなければ、後の世代の負担となってゆく。これまでのゼロ金利政策下で、借りても元本を返せば良いとばかりに、国は借金を増やし続けてきた。

 その甘いツケが、今後の大きな重しにならないか懸念している。