「温故創新」220716 N1080 伊波喜一

遺伝子の 歴史辿るか ゲノム見ん 看取りの時間 有り難きかな   

 今日は一日中、激しい雨だった。父の新盆で、墓参りを済ませてきた。亡くなって、あっという間に4カ月が過ぎた。コロナ下のなか退院でき、最期を家族で見送れたことは幸運だった。

 私達の遺伝子はDNAで出来ており、ゲノムには全遺伝子情報が入っている。つまり私達の細胞には、38億年という時間の情報が入っている。

 人の全てはゲノムの情報で決定づけられそうだが、そうではない。どんな環境でどんなことを思い、何をしてきたのかで決まる。認知症やがん体質であっても、リスクヘッジをしていくことで引き金を引かないようにすることが出来る。

 これは、仏法の冥伏(みょうぶく)と合致する考え方である。

 人は生まれるまでに10カ月間、母胎の中で守られる。同様に死ぬ時も自力では動けず、周りに見守られて旅立つ。その一部を省略したり短縮したりすることは、本来出来ない。

 ところが現代は、特に死にまつわる出来事を人為的に短縮している。だから、看取りや葬儀を、こちらの都合で簡略化・短縮化する。

 しかし、人の遺伝子には、時間をかけながら故人を見送った歴史が刻印されている。短い一生をどう生きるかは、どう死を迎えるかと同意義である。

 残された人生を何のために誰のために費やすのか、考えさせられる。