「温故創新」240428 No1418伊波喜一

本読めど 腹は膨れね だけれども 知の開拓の 拠点残さん 

 父の使っていた2台の草刈り機の内の1台が、エンジンがかからない。早速、メイクマンの修理部門に診てもらった。その結果、全体が老朽化していて、オーバーホールが必要とのことだ。その金額で、新品が1台買える。残念ではあるが、父のを廃棄することとした。

 出版文化産業振興財団の調査によると、全国1741市区町村のうち、書店が1店舗もない自治体が482市町村に増えた。全体の28%にも上る。中でも沖縄56%、長野53%、奈良51%では、過半数を占める。これは由々しき事態である。

 確かにアマゾンで頼めば、安くて早く手元に本が届く。書店まで出向く必要もなければ、店員とやりとりする手間も省ける。コスパやタイパで生きている現代時にとり、出来るだけ時間や体力のロスを避けることは、人生の価値に匹敵する。

 そんなことで社会が進んできた結果が、この有様である。

 元々図書館や本屋は、地域の灯台である。文化発信の拠点であり、雑誌や絵本や書籍から得られる情報は、想を耕すだけではない。心を耕し、情操を深め、創造力を伸ばす。

 1歳半の孫は絵本が好きで、物語の筋を自分の頭で置き換えながら、読みの世界にひたっている。その様子を見るにつけ、身近に文化的なな拠点がある事が、どれだけ大切であるか分かる。

 利便性だけで物事を判断していては、未来を拓くことは出来ない。