「温故創新」210410 N722 伊波喜一

デジタルの 教科書導入 考えず 学ぶスキルを 身につけねばと

 新学期が始まるや、電車が混んできている。学生の声や姿を、電車の中で見聞きするようになった。新入生とおぼしき生徒達も、ひとところに固まっては何か話している。微笑ましい限りである。

 GIGAスクール構想の一環で、タブレット端末が小中学校に配備された。1人1台配布のため、インターネット環境さえあれば休校中もオンライン授業を受けられる。

 AI機能がついているので、デジタル教材では各人のつまずきに合わせて最適な復習問題も選んでくれる。学習履歴もしっかり記録されるので、個人の力を伸ばすことが出来る。

 さらに、デジタル社会の旗手にも育つ。もう、いい事づくめである。でも、本当にそうだろうか。

 義務教育の眼目は、生涯学び続けるための基本的なスキルを身につけることである。読み・書き・計算する土台の上に、知識を集約し考えをまとめる。個人の資質を伸ばしつつ、他者と協力して総合的な知見を得る。 

 あわせて芸術や体育にふれ豊かな心を育み、人としての資質を耕す。 

 異文化理解も含めた多文化と交渉する力を育てることが、資源のない日本に最も求められている。

 ICT教育の便利さだけに目を奪われると、画竜点睛を欠くことにならないか案じられる。