「温故創新」231129 N1334 伊波喜一

自らの 体動かし 体験を 自然と文化 地方へ誘客          

 サクランボの枯れ葉が飛び散っている。冬が一気に深まってゆく。

 体験型旅行「アドベンチャーツーリズム」が、脚光を浴びている。コロナ下が明けて、インバウンドが急激に増えてきた。旅行会社や航空会社は名所・旧跡観光や食べ歩きに加え、体験型を企画している。 

 訪日客の観光は、大きく2つに分けられる。名所・旧跡を辿り、日本の概観を知る旅が1つである。その中には、民芸品や地産品、料理などが含まれる。日本の文化は多様で、広範囲にわたる。初めての旅では、このようなスタイルが定番となるのは無理もない。

 もう1つは、自らの五感をフルに活かした旅である。中山道やお遍路など、往時の人々が行き交った道を黙々と歩く旅などがそれである。

 ホストは村の役場や住人達で、彼等が異体同心でもてなしていく。ただし、何か特別なことをするわけではない。宿の整備を整えたり茶をふるまったり、民芸などを披露するだけだ。ゲストはひたすら汗を流して宿から宿へと歩き続ける。それが何故、人気なのだろう。

 旅行者達は、樹木の生い茂った往時と変わらない道を辿ることで、江戸の光景を体感することが出来る。往時の人が見たであろう木々や滝壺、足を休めたであろう場所で小休止しながら、喉を潤す。このリアル感は自ら汗を流さないかぎり、実感できない。

 これまでの消費型から環境に配慮した今流の旅への転換は、今後の地方活性化への足がかりとなることを、予感している。