「温故創新」210802 N836 伊波喜一

ネットでの 中傷誹謗 続くかな 匿名性の 残酷剥き出し

 朝から陽射しが照り返している。戸外は35℃を記録している。

 今日8月2日は、祖父の祥月命日である。明治から昭和の激動期を生き抜いた祖父。 

 祖父は戦乱で家族も財産も失い、どん底というよりマイナスの人生からスタートした。自分と家族の事だけでも大変だっただろうに、人のために労を惜しまなかったと聞く。 

 第2次大戦後の混乱は、想像を絶する。米軍による中城湾からの艦砲射撃で、祖父の住んでいた地域は、元の地形が分からなくなるほど変貌した。結果、土地の区割りが曖昧となった。

 さらに、土地所有者の戦死もあって、土地争いに紛糾しかねない状況下にあった。 

 そこを、祖父は一人一人から丁寧に事情を聞き取り、不平等にならないよう役場に掛け合った。その際、文字の書けない人のために代筆をし、土地を奪われないようにした。 

 そういう陰の苦労を表には見せない人で、当時流行っていたパナマ帽をかぶるような洒脱さがあった。また祖母と二人で映画を観に行ったりと、個人の生活を大切にする一面もあった。 

 もし祖父が生きていたら、今般のネット上の中傷現象をどう見るだろうか。心の豊かさを忘れた日本人の経済のあり方に、驚きを禁じ得ないかも知れない。