「温故創新」210803 N837 伊波喜一

黒い雨 国が上告 断念し 放射能の 雨の恐さよ

 連日の暑さで、草木もしなだれている。

 コロナの感染拡大は、予断を許さない。特にデルタ株は、水疱瘡並みの感染力を持つ。2回目の接種を先ず、打ち終えたい。 

 先月28日「黒い雨」訴訟で、国は上告を断念した。

 菅総理は「受け入れがたい部分もあるが、被爆者援護法の理念に立ち返って救済すべきである」として、上告を断念した。

 76年前、広島に原爆が落とされた時に、すすやほこりを含んだ黒い雨が降った。被害者援護法では、爆心地近くにいた人などを被爆者と認め、被爆者健康手帳を交付してきた。 

 黒い雨が降った地域は、1時間以上雨が降ったとされる「大雨地域」に限り、がんなどの病気になれば被爆者と認めてきた。

 ところが、小雨地域には被爆者健康手帳を交付しなかった。この大雨地域の外にいた84人が、自分達を被爆者と認め、手帳を交付するよう裁判を起こしていた。 

 広島地裁では1審、2審ともに、全員を被爆者と認めた。特に2審では、疾病の有無にかかわらず、黒い雨に遭ったことを否定できなければ、被爆者と認定した。あまりにも、当然の結果であろう。 

 一体、戦争の犠牲となった無辜の民に、どんな罪があるというのだろうか。自分の人生だけでなく、家族の人生も根こそぎ奪われた人達に、救済の手を伸べてこその国家ではなかろうか。