「温故創新」210109 N631 伊波喜一

感染を 防ぐためには 密を避け 程よい距離の 取り方むずかし              

 一昨日の大風で、枝の枯れ葉がすっかり吹き飛んでいる。見た目には寒々としているが、北風に身を晒し冬を乗り切っていく。無駄を削ぎ落して寒さに耐える様は、感動的でさえある。 

 コロナ禍は行動の制限を求める。人の往来も当然、制限される。

 これまで当たり前のようにやっていたことが、出来なくなる。その影響が、思っていた以上に大きかった。 

 東京の西の外れに、広さ1間ほどのスナックがある。高齢のママともう一人、2人でやっている小さなスナックだ。

 営業開始は午後7時。今回の緊急事態再宣言で、午後8時までの営業を促されているが、これでは商売あがったりである。

 それでもママさんは、常連客のために店を開けようかどうか迷っている。 

 一方、都の要請に従えばこれから1か月店を閉めれば、1日6万円の補償金が出る。30日だと180万円にもなる。

 儲けだけを考えれば、どちらが良いか天秤にかけるまでもないが、それが出来なくている。 

 宣言や条例ならば、一片の通知で事が済む。しかし、その通知の裏側には様々な人が生きていて、様々な感じ方をしている。

 政治に血を通わすとは、庶民のこの皮膚感覚をどれだけ汲みとれるかにあるのだ。