「温故創新」210104 N626 伊波喜一

EUを 完全離脱 威勢よく 自由貿易 孤立化せぬか          

 サクランボの枯れ葉が風に飛ばされ、細い枝を広げている。

 今のところサクランボは休眠中だ。これから何回か急激に気温が下がると、眠りから目覚める。2月が楽しみである。 

 大晦日に英国がEUから完全離脱した。2020年1月からの移行期間が終了し、残留状態が解消された。これで、名実ともに非加盟国となった。EU加盟国の脱退は、英国が初めてとなる。 

 EU離脱の背景には、移民対策や漁業権に関する加盟国の主権を制限するEUへの反発がある。

 シティなど金融市場を有する英国は、経済の優等生国でもあった。加盟国とのウィンウィンの関係が期待外れに終わったことも、その一因となっている。最低限度の生活や医療の保障を移民生活者にまで広げることにも、大きな抵抗があった。 

 懸念されるのは、EU加盟以前の状態に逆戻りするのではないかということだ。

 物流の行き来は、それだけに留まらない。人の往来や情報の交換が活発になり、多様な考え方を育む。

 世界は今後、持続可能な社会づくりを目指し、環境・非核・教育・人権など連携を密にすることが求められている。もはや、一国だけで対応できるものではない。

 英国が孤立化していかないか、案じられる。