「温故創新」201211 N610 伊波喜一

歴史から 学び取ること 数多く 自然の摂理 感じさせられ        

 通勤途中の道すがら、庭先から路側に南天の赤い実が弾けている。  

 しばらく行くと、黄色いザボンの実もたわわに成っている。鮮やかな色合いが、自然の配合の妙味を感じさせる。 

 FSRで中野歴史民族資料館に行った。遠く弥生時代の住居跡や土器が、展示されている。往時の原住民が、野山を駆け回っていた様子が浮かんでくる。 

 江戸時代から近代へかけて、居住地が広がり集落が発展してきた。今でこそ中野は住宅地だが、当時は原野が広がり、江戸時代には鷹狩りなども催された。 

 明治以降は開墾地を広げ、昭和に入ってからは大根などの野菜を育てた。畑で採れた大根は、直径2mもある「とうご」とよばれる樽に漬けた。この大樽に、4千本から7千本もの沢庵を漬けた。 

 1960年代の東京五輪を境に、日本は都市化を早めた。

 都市部に仕事を集中させ、人を集める。日本人自身がそのことを望み国は栄えた、かに思えた。

 しかし、コロナ禍で都市化信仰はもろくも潰えた。 

 経済は効率が良い方が生き残れる。人も? 

 人は矛盾に満ちた生きものだ。いわんや自然との関わりは、矛盾に満ちていて当然である。効率主義で解決できると思うこと自体、思い上がりではないだろうか。