「温故創新」201213 N611 伊波喜一

安い肉 求める声に 労働者 集団感染 移民酷使         

 風一つなく、陽射しが柔らかい。青みがかった空に、白い雲が棚引いている。遠目には杜の木々が赤く、黄色く色づいている。 

 ドイツでは、安売りスーパーが肉の安さを競う。1㌔の豚肉が6ユーロ(760円)で買える。

 安い肉を卸すには、製造段階のコストを引き下げるしかない。その担い手が、低賃金で働く移民労働者である。 

 彼等はルーマニアブルガリアポーランドなど、中東欧からやってきている。一日10時間以上、換気が不十分な職場で密集して働く。家でも狭い一室に複数で暮らしており、コロナの感染を拡大させた。 

 イタリアではトマト缶が、1ユーロ(126円)で買える。これも、移民労働者の賃金を正規の半額以下に抑えているからである。

 日本でも、100均は重宝する。それが出来るのは、非正規雇用で安く賃金を抑えているからである。 

 経済は需要と供給の関係で決まる。安くて良いものを得たい思うのは、人情である。ただし、程度問題だ。 

 コロナ禍で非正規雇用者は、職を失っている。移民労働者であれば、なおさらのことである。

 弱みに付け込まれて搾取の対象となり、食い物にされる。

 人道主義といっても、私達の足元を見直すところからしか始まらないのだ。