「温故創新」240818 N1486 伊波喜一

ウークイに 家族の絆 改めて 血脈続く 不思議あるかな     

  庭の柿の木のへりから、アリが出入りしている。掘り返してみたら、無数のアカアリが飛び出てきた。土中深く、巣穴を作っているようだ。

 今日はウークイ(お送り)、ご先祖を黄泉の国へと見送る日である。夕飯は重箱にご馳走を供え、此岸から彼岸へと帰っていくのを見送る。

 今回、たまたま娘が東京から戻ってきていたので、上さんの手伝いをしてくれた。ウンケー(お迎え)から3日間のお供えと訪問客への手料理は、男手ではとてもやりくりできない。

 昔と違って最近は、地元のスーパーなどで重箱セットをあつらえている。お供えの品数や揚げ物の多さからして、家庭で全てを賄えないのは無理からぬところである。筆者の役目はもっぱら、お中元の買い出しとお供え膳の上げ下ろしである。

 忙しい日常の中で先祖の労に謝し、思い出を語ることは素晴らしい慣習である。現代人は多忙に流されがちだが、あえて歩みを留めることで非日常の感覚を取り戻すことが出来る。

 ましてや、姿かたちの見えない先祖を敬うことは、このような機会に寄り集まってこそ具体像を結べる。

 家の過去帳には、遠く明治に没した先祖の名も記されている。どのような人だったのか、今では想像するしかない。この先祖のさらに前から、連綿と血脈が続いて子孫(こまご)に至っている。

 この世に生かされていることの不思議を、改めて想う。