「温故創新」230912 N1287伊波喜一

性加害 加担しないと 意思示す 見て見ぬフリの 風土破りて  

 陽が肌を刺す。湿度が高く、動くと首筋や脇の下に汗が滲み出す。  

 アサヒグループホールディングスは、ジャニーズ事務所所属タレントによるCM取り止めを表明した。一番乗りである。それに呼応するかのように、サントリーHDや日生、JALなどが続いている。性加害の事実が明るみに出た途端に、結論を下した格好だ。

 アサヒHDは、所属タレント23人をCMに起用していた。その狙いについて「実力と人気を兼ね備えていて、(アサヒの)商品の世界観を体現するのに適切だと考えて起用した」としている。

 それを取り止めたのは「取り引きを継続すれば、(アサヒが)人権侵害に寛容であると判断される」からである。取り止めたことで「契約更新を行わないと表明したことで、ジャニーズ事務所が被害者の救済と是正に、本気になって取り組む」としている。

 ここまで被害が大きくなるまえに、スポンサー企業が出来ることはあっただろうにと思う。ただ、一早く名乗りを上げたことで、他社が雪崩をうって追従することは間違いない。その先鞭をつけた事は、評価されて良い。

 日本の悪しき風土である「長いものに巻かれろ」が、今回このような形で噴き出てきた。ビッグモーターや損保ジャパンも、同根である。 

 ここで膿を出し切らないと、負の連鎖が陰々と続く。これらの事件を、悪しき風土を断ち切る絶好の機会としていきたい。