「温故創新」210915 N880 伊波喜一

収穫を 目の前にして 台風の 被害甚大 秋悲しもと     

 台風14号が台湾を通って北上している。大陸からの季節風に押されて、日本列島に向かって進路を変える気配である。

 秋の豊穣を目前にして、大雨の被害が懸念される。

 庭の楓の下に、10cmに満たない小枝が散乱していた。

 先だって掃いたばかりなのに、なぜだろう。そう思って枝の根元を見たら、鳩が身動きもせず留まっている。巣を作ろうとしていて、小枝を上手に折り敷いている。まるで、簡易ベッドのようだ。

 そういえば、カラスの鳴き声が喧しかったが、鳩の巣を見つけたという合図ででもあったのだろうか。それから、鳩はやって来ない。作りかけの巣が置かれたままだ。

 アキアカネが車の屋根をかすめていく。

 トンボはアンテナが好みのようで、棒状のアンテナに垂直下降して止まる。平たい屋根に突起物があると、ホッとするのだろう。随分と居心地がいいようで、こちらが近づいていっても離れようとしない。 

 筆者が子ども時分、トンボとり名人がいた。筆者達が捕ろうとすると寸前で逃げられてしまうが、名人はいともたやすく捕まえていた。

 名人の手にかかると、どんなトンボでも大人しく羽をつままれた。きっと、トンボの気分をこわさずに捕ったのだろう。

 あれから、優に半世紀を過ぎた。トンボは変わらず飛んでくるが、トンボとりをする子どもは見かけなくなった。