「温故創新」180904 N249 伊波喜一

雨風に 恐れひるまず 卵抱く 母鳥守る 父の見守り

 台風21号が猛威をふるっている。関西では最大瞬間風速58mを記録し、甚大な被害が出た。今年は台風の当たり年で、長雨による河川の氾濫、堤防の決壊、山崩れなどが相次いだ。さらにこの時期の襲来は、農作物の収穫期にあたるだけに、被害の大きさに心が痛む。 近くの楓の木の陰に、今年もつがいの鳩が巣作りをした。もう一週間になる。ここのところの雨模様の天候の中、30㎝程の小枝を集めてきて巣を作っていた。途中、カラスが電線の上から見下ろしていたが、オス鳥が体を張ってカラスの攻撃を防いでいた。自分の体の何倍もあるカラスに真正面から立ち向かい、追い払っていた。一方、メス鳥は卵を温めたまま身じろぎもせず、一瞬たりとも巣から動かない。子どもを産み育てようとする意志には、感動を覚える。   平成29年度も児童虐待が報じられた。虐待に至る経緯は様々である。しかし、どんな経緯があったにせよ、庇護しなければならない子ども達の育児放棄は、許されない。鳩の姿を見ていると、人間は何かを置き忘れているのではないかと思わざるを得ない。