「温故創新」201005 N554 伊波喜一

ミツバチの 会議に学ぶ 民主化の 各自判断 活路拓かん               

 朝晩が冷え込んできた。日が射さないと、日中でもヒンヤリとする。体を動かすにはもってこいの季節だ。 

 民主化をめぐる議論は難しい。反り合わない考えを一つの方向にまとめるのだから、容易でない。時間も手間もかかる。最後は、多数決の原理へと辿り着く。 

 ミツバチの世界には、分蜂という現象がある。不適切な場所を選んだために、群れが全滅の危機にあうことがある。

 そうならないように、ハチたちは探索と議論をくり返す。 

 数百匹の探索バチが、候補地を見つけに飛び立つ。巣の候補地を見つけた探索バチは、尻を振って踊る。

 この位置情報を手がかりに、別の探索バチが状況を見に飛んで行く。結果が良ければ踊る。

 候補地を強く推す場合には踊りに熱がこもるが、そうでないと気が抜けた踊りになる。 

 もたらされた情報に、ハチたちはやみくもに従わない。必ず自分で確かめて判断する。ただし、一定数の支持が得られれば引っ越す。これは議論倒れにならないための、知恵である。議論に数日かけている間に敵から急襲されないよう、さっと引っ越す。 

 熟考と衆議一決とは、別々のものではない。慎重かつ果断に決めることは、矛盾していない。これが本来の民主である。