「温故創新」200821 N516 伊波喜一

先人の 知恵に学ぶか 発想の 転換をする 壁乗り越えん    

 週末にまとまって雨が降った。一雨ごとに涼しくなることを願う。  

 8世紀の奈良時代に、天然痘が猛威をふるった。一説によると、当時の総人口の3割が死亡したと推定されている。国政を担っていた藤原氏4兄弟も、疫病で亡くなった。 

 ウイルス感染は人を媒介としてうつる。朝鮮半島新羅百済への使者がもたらしたもの、と言われている。

 この疫病平癒を願って、仏教への帰依が広まった。

 本山である東大寺を中心に、国分寺国分尼寺が建立されたことは既成の事実である。 

 拙宅の割と近くに、この国分寺がある。奈良から遠く離れた武蔵野の端に、ナゼ国分寺を建てたのか不思議で仕方なかった。

 しかし、現今の新型コロナ感染が拡大するにつれ、感染平癒を願った当時の人々の気持ちが分かるような気がしている。

 人智を超える災害に合った時、人は大自然の持つエネルギーに謙虚に手を合わせる。

 この破壊的エネルギーは、創造にも相通じる。破壊から創造へと昇華していくために自然の生命力に頭を垂れ、人智の傲慢さを脱ぎ捨てる。それが、国分寺の建造へとつながったのに違いない。天然痘の災禍はそれほど大きかったのだ。 

 末寺を建てた往時の人々の願いが、時を超えて今に伝わってくる。