「温故創新」 190701 N280 伊波喜一

学問の 根を張るまでに 時(とき)経りて 花と木の実を 見るのはいつか

 沖縄県国頭郡恩納村に、沖縄科学技術大学院はある。創立は2011年で、まだ8年しか経っていない。その創立の芽は2001年、当時の沖縄・北方対策、科学技術政策担当大臣が、沖縄に国際的な大学院大学を設置する構想を発表したことに、端を発する。

 この大学が、世界の研究機関を格付けするネイチャーインデックス2019で、世界10位、国内トップに輝いた。当大学は質の高い論文を算出するランキングで、上記の成績を修めた。これだけの快挙を短日月に成し遂げたのであるから、さぞ地の利・人材・財力に富んだところであると思うだろう。しかし、大学のある恩納村は、開発の恩恵に浴さない地であり、むしろ辺鄙で不便なところである。それなのになぜ、成果が挙げられたのか? それは教授陣を含めた大学側の人材層の厚さと同時に、学生達の探求心と使命感、地域の見守りと支えがあったからであろう。そして、政治のリーダーシップである。研究の果実は簡単には得られない。だからこそ、地道な研究を支える予算と人材の確保と先見性は、政治の方向性と決断力に支えられている。 来たる参院選挙ではその点も見ていきたい。