「温故創新」181001 N251 伊波喜一

研究の 行く末見つめ 黙々と ワクに縛るな 成果自ずと  

 今月1日にノーベル生理学・医学賞京都大学特別教授の本庶 佑さんが選ばれた。免疫を抑制する働きを持つ分子「PDー1」を発見し、がん治療薬「オプジーボ」の開発へとつなげた。その功績が評価された。本庶さんは「サイエンスは未来への投資」と語り、国や企業に生命科学研究への支援を訴えた。また、基礎研究が応用につながることを実証できたとも語り、賞金や特許使用料を京大に寄付する意向を示した。 我が国の大学の研究開発費は年間約2兆3千億円で、引用回数トップ10に入る論文3千本を生む。気になるのは、大学教員の年間職務時間の内容だ。この10年間で研究活動費が1300時間から900時間へと激減している。代わりに社会サービス活動が増えている。社会サービス活動自体は悪いことではない。大学を開くという点から見れば、良いことだ。しかしそれが過ぎると、本務に影響する。 研究費の資金獲得は研究の将来を決定する。そしてそれは、有望株の研究だけでなく、基礎研究のように地味な研究に対しても、公平に与えられるものではないだろうか。