「温故創新」190311 N262 伊波喜一

八年に 悲喜こもごもの 思いあり 歩みの長さ 支えし人あり

 青梅街道沿いの梅の花が満開である。冬景色の褐色の中に、白梅の凛とした白さと、紅梅の鮮やかなコントラストが美しい。加えて梅の甘さが辺りに漂ってくる。よく見ると、枝から枝へと移り渡るのはウグイスのつがいである。梅の蜜を吸おうと羽を忙しく動かしていて、健気である。 昨晩から今朝にかけて、春一番に乗って大雨・大風が吹き荒れた。横なぐりの雨は遠慮なく叩きつけ、窓ガラスを揺する。家も畑も竹林も、道行くもの全てをしっぽりと濡らす。路上は雨粒が跳ね返って、白いもやがかかっている。先月までの雨不足が嘘のようだ。 東日本大震災から丸八年経った。この八年間にはいろいろなことがあった。家屋の復興と同時に心の復興がどれだけ成されたのだろう。どれだけの人達が、混乱と絶望の淵から命を紡いできたのだろう。その陰に、被災した人達を支えた無数の人がどれほどいたことだろう。人は一人では生きてゆけない。でも、支えてくれる人がいれば、頑張れる。復興への道のりは、まだまだ続く。自ら諦めさえしなければ必ず復興できるし、またしなければならない。それが後に残されたものの使命である。そう私は思う。