「温故創新」190301 N261 伊波喜一

天才の 孤独の底に 潜む影 仲間の愛で 真(まこと)に目覚めん

雨が降り続いている。木々や草花を根っこから濡らし、大地を湿らす。花粉症で悩んでいる人達にとっても、恵みの雨となるだろう。

映画ボヘミアン・ラプソディーを観た。クイーンフレディ・マーキュリーの葛藤が赤裸々に描かれていた。裸一貫で逃げ延びて来た移民家庭で育ち、歯にコンプレックスを持ち、性的マイノリティーでもある。何よりも、彼の生き方を父親が認めなかったことが、フレディを満たされない思いにし続けた。取り巻きに囲まれ、酒とドラッグに溺れる日々。クイーンの仲間と喧嘩別れし事実上の脱退。破滅の坂を転げ落ちていくフレディを目覚めさせたのは、恋人メアリーの一言「あなたには、あなたを愛している人がいる。だから、(バンド仲間のところに)帰って!」だった。相手を思っての一言が、必ずしも相手に伝わるとは限らない。誤解されて、自身の立場を不利にすることだってある。諫言よりも甘言を好むのは人の常であるからだ。 フレディを愛し、信じ抜き、直言したメアリーの生き方は、そんな浅はかな打算が色あせて見える。相手を思い、勇気をもって伝えた一言は、相手の心に必ず花を咲かせるのだ。