「温故創新」180425 N227 伊波喜一

身の危険 省みもせず ただ一人 真実伝え 救わん子等を

映画「ペンタゴン・ペーパーズ」が上映されている。米国のベトナムにおける政策決定の欺瞞を暴き、真実を国民に知らしめたワシントン・ポスト社の道義的責任を描いた作品である。 ベトナム戦争当時のニクソン政権は、最高機密文書の第一報を報じたニューヨーク・タイムズ社に対し、連邦裁判所に記事の差し止めを要求する。その後を受けて報道するのであるから、並の勇気と経営判断力だけで出来ることではない。正義という名の下に行われていく戦争で犠牲になるのは、対戦国であるベトナムだけではない。むしろ、巧妙に真実を隠され、戦地に送られていく母国アメリカの我が子達ではないか。だからこそ、国民には真実を伝えなければならないとする使命感が、ワシントン・ポスト社の女性社主キャサリン・グラハムを報道へと駆り立てる。それは、我が子を慈しむ母の願いであるように感じられる。我が子への愛情に裏打ちされているだけに、自他の命を粗末に扱う事に対して、女性は本能的に許さない。生き方の中心に慈しみを据えている、女性ならではの平和思想と言えよう。

この母の智慧に学びたい。来月13日は母の日である。