「温故創新」230529 N1214伊波喜一

カキの殻 野菜作りに 生かしつつ 土壌改良 自然の知恵を 

 日中は湿度が高く、蒸し暑い。先島諸島への台風2号の接近が気にかかる。大雨被害の少ないことを、祈りたい。

 養殖カキの殻を使った農作物の栽培が、岡山県で広がっている。生ガキにレモン汁をたらして食べると、美味である。しかしその分、大量にカキ殻が出る。

 岡山県を含む瀬戸内海沿岸は、養殖カキの水揚げ量の7割を占める。そのため、カキ殻の処理が課題となっていた。廃棄物として処理されていたカキ殻を再利用したのが、JAグループ岡山だ。

 カキ殻はアルカリ性のため、酸性雨などで酸性に傾いた土壌を、中和する作用がある。また、ミネラル分を含み、粉砕して土壌に混ぜると、肥料が吸収されやすくなる。結果、収穫量が増加する。

 そのカキ殻を生かして作った「里海米」の生産量が、16年の25㌧から22年には2850㌧へと増えた。この間で使った殻も、1778㌧にのぼる。

 実際、農薬に頼る農法は、すでに曲がり角に来ている。土壌汚染が進み、安全性に直結する。子育て世代には、特に気にかかるだろう。

 カキ殻の再利用のように、循環型農業は農法の奥に環境と主体の連携を据えている。主体と環境は、切っても切れない関係にある。互いに働きかけ、働きかけられて成り立つ。

 依正不二の原理から見れば、この地球上にムダなものなどないのだ。