「温故創新」230107 N1151 伊波喜一

庶民こそ まことの王者 たらんかな 祖父母の思い 胸に響かん

 月刊「潮」誌が書店に届いた。一番目当ては「民衆こそ王者」(評伝 池田大作)である。毎号毎号、庶民との凄まじいばかりの生き方が描かれている。

  池田氏の行動は庶民の声を聞き取り、励まし続けることに徹している。そこに、氏の誠実と繊細さ、同時に先を見据えて手を打っていく冷静さがある。その根本にあるのが、励ましである。文豪吉川英治の新平家物語を引用し、氏は言う。

平清盛は若き日、自らの出生が謎に包まれていることに悩んだ。私は誰の子なのか。 その深い悩みに答えてくれた人がいた。清盛の古くからの家臣で、いわばおじじの存在である木工助(もくのすけ)が清盛に言う。『たとえ、真の父御(ててご)がたれであろうと、和子さまだけは間違いなく一個の男の児(おのこ)ではおわさぬか。(中略)心を太々とお持ちなされい。天地を父母とお思いなされや』と。 

 何と心温かく、また力強い激励の言葉であることか。これは恵まれた環境に育った、有識者の忠言ではない。また、目上の人からのアドバイスでもない。家僕、それも一介の庶民による率直な言葉に過ぎない。しかし、その一言が清盛を奮起させ、天下への道を歩ましたのである。庶民の真心の激励が、いかに大切であるか。またいざという時に、庶民こそ真に頼りがいのある存在であるかが分かる」。 

 池田氏の行動原理を垣間見る、エピソードではなかろうか。