「温故創新」211009 N904 伊波喜一

急かされて 生きてる社会 早送り たまに駆け足 たまにゆっくり     

 カラスが電線に集まって、大声で呼び交わしている。何かを伝えているようだが、内容は分からない。巣作りの相談なのだろうか、それにしても20羽は多い。

 一方、小川西町グランドでは、朝からカラスが何かつついている。一言も発せず、黙々と地面を漁っている。虫が出るわけではなさそうだし、一体何を啄んでいるのか。

 ユーチューブやティックトックは、すっかり日常の一コマとなっている。個人情報もそうだが、公報もコンパクトにアピールすることが主流となった。

 例えば間近の衆議院選挙では、各党ともに主張を分かりやすく、手短にまとめている。難しい政策をいかに分かりやすくまとめ、有権者に訴えられるか。それが、有権者の判断を左右する。皆忙しい生活を送っているだけに、一目で分かることが好まれる。 

 反面、ゆっくりした時間を持ちたくなるのもこれまた真理だ。交響曲は最低でも40~50分かかる。それを半分の時間にしようとは思わない。旅などその最たるもので、映像だけで旅の楽しさが味わえるわけではない。時間をかけて歩き回り、食を味わい尽くそうとするからこそ、醍醐味もある。

 効率的ではないからこそ、面白さもある。それが、人の世の面白いところだと言えそうだ。