「温故創新」210621 N794 伊波喜一

豊漁の イワシ食べごろ 入梅の 旬を味わう 水揚げ一番            

 雨交じりの風で、枝の擦れる微かな音が聞こえていた。夜半の雨が路上を濡らしている。

 今朝は微風が心地よい。湿度が高く、晴れると蒸す。こまめに水分を撮るようにしたい。 

 銚子港では今年もイワシが豊漁である。順調に水揚げされており、秋にかけて食べごろである。

 農林水産省によると20年の生産量は70万㌧で、2位のサバ類(38万㌧)を大きく引き離している。かつては大量に獲れたイワシだが、05年には3万㌧を下回った。

 ところがサンマが不漁になると、今度はイワシの水揚げが増えた。 

 イワシ入梅イワシともいわれ、今が旬である。ただ、足が早く傷みやすいのと小骨が多いため、敬遠されがちである。

 新鮮なら刺身も美味しいが、寄生虫アニサキスが心配だ。そのため、加熱用でしか販売しない鮮魚量販店もある。 

 立川に活いわし専門店がある。活造りは元より、揚げても蒸しても良しで、汁物も美味しい。生簀からすくった天然イワシは、身が引き締まっていて新鮮である。 

 新見南吉の名作「ごんぎつね」に、イワシ屋が出てくるシーンがある。氷のない時代の担ぎ売り。買う方も、手早く調理したことだろう。

 旬のものを旬に味わう。イワシの味覚が蘇ってくるようだ。