「温故創新」210507 N749 伊波喜一

執念で 赤来ファイルの 存在を 明かにする 真実一つ     

 通勤途次の公園で、いつもの方が掃き掃除をしている。これから木々の花が咲き始めるので、手入れが欠かせない。黙々と取り組まれている姿に、頭が下がる。 

 2017年、森友学園への国有地売却をめぐり、財務省が決裁文書を改ざんした。改ざんを苦にして、財務省近畿財務局職員赤木俊夫さんが自死した。

 原告の妻雅子さんは「誰に何を言われて改ざんしたのか明かにしてもらわないと、夫が浮かばれない」として、赤木ファイルの開示を求めた。 

 原告側がファイルの開示を繰り返し求めてきたのは、改ざんの経緯を記録してあるためだ。その事実で財務省内の具体的な指示のやりとりが明かになり、改ざんを強いられた俊夫さんの心理的負荷の強さを立証できるとした。

 一方で国側は「訴訟に影響を及ぼす」として、国会での答弁を拒んだ。また「裁判の争いに関係せず」として、裁判所への提出も拒んだ。

 しかし、一職員の意思で改ざんしたと考えるには無理がある。当時の佐川理財局長からの具体的指示と動機があったと考えるのが、自然である。結局、上の意向ばかり気にした不和雷同的な姿勢が国民の不信を招き、「忖度」を悪いイメージで定着させた。 

 その悪影響と原因を、今こそ根元から断ち切りたい。