「温故創新」201028 N575 伊波喜一

幅広い 地域で栽培 可能なり 砂糖イネで ショ糖作成 

 茶色のカマキリが、自転車のサドルにのっている。近寄っても、動こうとしない。愛嬌こそないが、そこがまた可愛い。 

 中国・福建農林大名古屋大の研究チームは、イネに砂糖を生成することに成功した。

 受精できないようにしたイネの変異体が、通常の米粒の代わりにショ糖を含む液体を生成することを発見した。 

 種子が育つには、花粉に含まれる精細胞が卵細胞に受精することが必須と考えられてきた。精細胞を運ぶ「花粉管内容物」と呼ばれる液体にその役割があり、受精しなくても種子が肥大する。 

 今回、同じ働きをする遺伝子をイネでも発見した。ゲノム編集技術で変異体を作成し、受精なしで種子が肥大するかを調べた。

 その結果、同じように種子は肥大した。だが、通常は「米粒」となる白色固体のデンプンではなく、ショ糖を90%含む液体で満たされていた。

 含まれている糖分は、ショ糖が98%と高純度だった。また、デンプンを合成する酵素を作る遺伝子が働かず、通常の米粒を作れないことも分かった。 

 砂糖の主成分であるショ糖は、サトウキビやテンサイから作られる。イネは中国大陸でも栽培が可能だ。今後、日中共同開発で農業自給率を向上させることが出来れば、素晴らしい研究成果である。