仁徳陵 再発掘を 来秋に 実態解明 新たな気づき
この数日、雨が降り続いたが、新たに台風15号が発生した。土砂崩れや洪水など、連鎖被害が懸念される。
仁徳天皇陵の前方後円墳・大山古墳は、5世紀に建立された。国内最大の古墳であり、三重の周濠とその間に2つの堤がある。
墳丘や堤は、周濠の水で浸食がすすんでいる。そのため、同庁は保全計画を検討するため18年に発掘を開始した。
被葬者を巡っては、研究者の間で論争が続いている。明治以降、政府は天皇の万世一系を体現すべく陵墓を整え、聖域化を進めた。
しかし、墳形や円筒埴輪などの分析で築造年代が推定されるようになると、築造順に矛盾が見られようになった。
そのことは取りも直さず、被葬者の親子関係などにも矛盾が生じる結果となった。
戦前は歴史の真正性より、神話や物語が優先された。
戦後の歴史学や考古学は、史実と神話をきちんと立て分けるところから始まっている。
同庁は18年に初めて、堺市と共同で調査を実施した。今後新たな発見がもたらされるかも知れない。
その時こそ、真摯に事実を受けとめていきたい。