「温故創新」201011 N559 伊波喜一

仁徳陵 再発掘を 来秋に 実態解明 新たな気づき               

 台風14号は八丈島や三宅島・御蔵島に、大雨をもたらした。

 この数日、雨が降り続いたが、新たに台風15号が発生した。土砂崩れや洪水など、連鎖被害が懸念される。 

 宮内庁は、仁徳天皇陵の再発掘を検討していると発表した。

 仁徳天皇陵前方後円墳・大山古墳は、5世紀に建立された。国内最大の古墳であり、三重の周濠とその間に2つの堤がある。

 墳丘や堤は、周濠の水で浸食がすすんでいる。そのため、同庁は保全計画を検討するため18年に発掘を開始した。 

 被葬者を巡っては、研究者の間で論争が続いている。明治以降、政府は天皇万世一系を体現すべく陵墓を整え、聖域化を進めた。

 しかし、墳形や円筒埴輪などの分析で築造年代が推定されるようになると、築造順に矛盾が見られようになった。

 そのことは取りも直さず、被葬者の親子関係などにも矛盾が生じる結果となった。 

 戦前は歴史の真正性より、神話や物語が優先された。

 戦後の歴史学や考古学は、史実と神話をきちんと立て分けるところから始まっている。 

 同庁は18年に初めて、堺市と共同で調査を実施した。今後新たな発見がもたらされるかも知れない。

 その時こそ、真摯に事実を受けとめていきたい。