「温故創新」200906 N532 伊波喜一

内在化 宿主に変化 もたらすか ウイルスの謎 歴史辿りて       

 昨夜は東京でも夜半、大雨が降った。台風10号の進路から、目が離せない。 

 ウイルスのゲノムが宿主のゲノムに組み込まれ、次世代に受け継がれることを内在化という。この内在化は、時に宿主に進化をもたらす。 

 哺乳類の胎盤は、様々なウイルスが関わってつくられた。これには3000万年前のレトロウイルスが関わっているとされている。 

 ウイルスの中には、宿主のゲノムの中に自らの設計図を潜り込ませることができるレトロウイルスがいる。

 そうと知ってか知らずか、宿主はウイルスが必要なものをつくる。ウイルスの設計図が精子卵子の細胞に潜り込むと、宿主の子孫に受け継がれる。

 何万・何十万という時を経て、ウイルスの設計図は姿を消す。そして、宿主の細胞の中で新たな働きをする。

 高等生物である哺乳類の胎盤形成も、ウイルスと宿主とが共存する中で起きたと考えられる。 

 新型コロナウイルスは、人を宿主として肺炎を起こした。全世界で2662万人というとてつもない人数が、感染している。今後も増え続けると予測される。

 このような経緯を経ながら、長い年月をかけて宿主は生きてゆく。それはコロナとの対峙ではなく、共存という形をとってゆくのだ。