「温故創新」200524 N439 伊波喜一

雲かかり 薄日射すかな 風吹いて 皐の終わり 衣替えかと  

 朝から風が吹いている。湿度はあるが涼しい。日中は気温が上がるとのこと。そろそろ熱中症が心配である。 

  ルネサンスがペストを契機にして起こったことは、よく知られている。病に倒れる人々の救済に力を貸さず、権威をかざすだけの教会に対して、神から人へ目を向けたのがきっかけとなった。

 遠くギリシャ・ローマ時代の古典文化に憧れ、文芸復興を成し遂げたのは歴史が示している。

 本来、それらはキリスト教にとって異教である。ところが、神のアンチテーゼである人に目を向けてゆく。

 つまり、疑う余地のないことやものに対して、人の直感を信じたところからルネサンスが始まった。

 その生きた情報(インテリジェンス)が、印刷技術の普及にともなって急速に広まった。軌を一にして、ルターの宗教改革が起きたのも偶然ではない。 

 中世という時代は、暗黒のイメージを持たれがちだ。だが、その底流では神から人へという大きなうねりが生じていたことになる。

 コロナ禍は、従来の価値観の転換を促している。

 不自由の自由、不可分の可分、分断の結合、南北の融合など、新しい意義づけが求められる。

 この災禍を転機として、互恵社会へと舵取りをしていきたい。