「温故創新」220720 N1082 伊波喜一

静けさの 度合いそれぞれ 感じ方 極から極へ ふり幅広し    

 気づかないでいたが、日の出が遅くなっている。夏至の時分は午前4時には明けていたが、今は午前4時半過ぎから白々と空が明るんでくる。9月のお彼岸までには、さらに遅くなるだろう。

 筆者の誕生日に、娘達からイヤホンをプレゼントしてもらった。耳にはめてみて、びっくりした。外からの音を遮断して、音源に集中できる。これまで、雑音を消すために音源を大きくしていたが、その必要がない。また、適度に外音を遮断するので、耳に負担のない程度の音量で聞ける。

 イヤホンの役割は、外音を完全に遮音することで、快適な音を聞くことだった。ところが、これは適度に外音を遮るので、外部の音が入ってくる。話をする設定にも出来るので、音に集中しながら話をすることも出来る。イヤホンの常識が、変わりつつあるのかも知れない。 

 コンピューターの土台になっている2進法は、曖昧さを排除する。コロナとの対応も、ウイルスを完膚なきまでにやっつけるオールorナッシングの発想である。確かに、曖昧ではやってゆけない。

 しかし、この発想を日常にまで広げると、窮屈で息が詰まる。静けさも過ぎると、かえって回りの音が気になる。物事は詰めすぎると弊害が出る。

 一見無駄のように思えるところに、案外、人智の及ばない知恵が隠れているのかも知れない。