「温故創新」201224 N618 伊波喜一

緩和ケア 看取りの看護 人生の 旅立ち助く グリーフケアを          

 湿度が30%を切っている。寝る前に室内にタオル干しをしても、ほぼ乾燥している。火災など起これば、一たまりもない。 

 緩和ケアが言われて久しい。ここ数十年で、急激な高齢化社会となった日本。かつては自宅での看取りが普通だったが、今では施設や病院でが一般的だ。特に緩和を伴う医療ケアにおいては、端緒についたばかりである。

 医療現場においては、治療と救命、延命に全力投球する。

 しかし、自らの体を自由に動かせなかったり延命措置を受けたりしている患者にとって、自身の体の痛みや将来の不安を声にすることは出来ない。 

 痛みには4つの種類があると言われている。身体的な痛み、精神的な痛み、社会的な痛み、スピリチュアルペインである。スピリチュアルペインは死を目前にして、自分の人生の意味を問う悩みである。感情よりも奥深くにある悩みである。 

 緩和ケアは絶望して最期を迎えようとする患者に対して、人生の意味やその人の存在それ自体を受けとめるケアである。 

 人は誰しも、この世を一人で旅立つ。だから、自らの心のうちを吐露してこそ、今生の名残ともなろう。 

 傾聴とはただ話を聞くことではない。患者の思いを真摯に聞き届けることは、自他ともの生を肯定することに他ならない。