「温故創新」220825 N1097 伊波喜一

廃棄物 出さない知恵が 生物の ゼロエミッション 持続可能の    

 小平駅前のあかしあ通り沿いに、柳が植わっている。炎暑にも拘らず、その緑が柔らかい。風に揺られ雨に打たれ、炎熱に焦がされても、緑の初々しさを失わない。凄いものだと思う。

 人を取り巻く樹木や虫は、人が生まれる前からこの世にある。天変地変を生き延びてきた歴史には、生きる知恵が詰まっている。

 チョウの幼虫は、食べられる草が限られている。だから、母チョウは幼虫が食べられる草を正確に区別して産卵しなければ、幼虫は餓死してしまう。そこでチョウは前脚で葉を叩いて傷をつけ、そこから出てくる匂い物質を嗅ぎ分けて、草を区別する。

 進化の過程で後から出てきたナミアゲハは、ミカン類の葉を食べる。そのナミアゲハに、先に出現したギフチョウが食べるカンアオイをあげる。するとナミアゲハは、カンアオイを食べる。

 これはチョウが種としての古い記憶を捨てるのではなく、引き継いでいることを示している。

 このように、チョウはヒトのような消費型の生き方ではなく、古いものを大切に繋いでいく生き方をしている。

 元来、生態系は廃棄物を出さないゼロエミッションである。比べて、人は無駄に消費し使い捨てている。いずれが地球環境にとって賢い生き方か、比べるまでもなかろう。

 人はもっと謙虚に、懸命に生きなければならないのではなかろうか。