「温故創新」220605 N1050 伊波喜一

太平洋 横断一人 復路旅 最新の機器 細心の知恵  

 花壇の青いブルーベリーの実の先が、紫がかっている。まだ熟れてはいないが、直に色づくだろう。そろそろ、防護ネットをかけなくてはならない。

 海洋冒険家の堀江謙一さんが、ヨットの単独無寄港太平洋横断を成し遂げた。83歳での達成は、世界最高齢である。

  堀江さんは1962年に、世界初のヨットによる単独無寄港太平洋横断を達成した。その時は日本からサンフランシスコを目指したが、今回はサンフランシスコから日本を目指した。これで往路と復路の両方で、太平洋を横断したことになる。

 全長6㍍、重さ1㌧と60年前と同じ寸法のヨット「サントリーマーメイドⅢ号」で、8500㌔を航海した。船内の電源はソーラーパネルで賄い、衛星を介した通信でスタッフらと連絡を取りながら航海した。

 出航早々、嵐に見舞われたが、無事に乗り越えた。スコールの度に、コックピットからキャビンへ逃げ込んだ。日本に近づくにつれ、黒潮の進行方向が逆になり、押し戻された。3日間の激闘に疲れ切ったが、運よく新西宮ヨットハーバーへと入港することが出来た。

 成功に至るまでの準備と仲間の協力、細心の注意が際立つ。何よりも、入港した時の堀江さんの笑顔が素敵だ。回りへの感謝と謙虚さが滲み出ていて、心洗われる。