「温故創新」211206 N962 伊波喜一

空碧く 海岸線の 波白し 海風の音 心地良きかな

 1年ぶりの沖縄は、空が碧い。陽射しは強いが、微風が心地よい。海岸線の波が白く泡立ち、その音まで聞こえてきそうだ。

 飛行機は満席で、コロナ前と変わらないように見える。飲食店も混んでいるが、実際の状況はどうなのだろう。

 県外からの観光客数が1千万人の大台に乗ったのは、コロナ下のことだった。ハワイを抜くかという勢いだった。

 しかし「観光客が使うお金の額が格段に少ない」と、タクシー運転手のおじさんが話していた。その時は(そんなものかな)ぐらいに思っていたが、実際そうだった。

 薄利多売は、商いの極意の1つである。食べ物にしても着るものにしても、消費が潤うことで稼ぐ。生活必需品などは、それでよいかも知れない。

 一方で観光やイベント、ファッション、家具などに、厚利多売(造語)を希望する人もいる。日々の生活闘争へのご褒美として、たまさかの贅沢をする。安くて、便利を追い求めるだけでなく、高いが満足のゆくサービスを提供する。

 そう考えると、観光業も含めてサービスのあり方を変えていく必要があろう。それ以上に、安いサービスを求める客の心理を変えることが先決である。

 サービスの対価をコストに反映させて初めて、経済は循環していく。