「温故創新」211201 N957 伊波喜一

人は皆 違いがありて 面白し ほって置かず 関わりすぎず                

 この寒さで常緑の竹も、心なしか霞んで見える。生きとし生けるものは、常住であり続けることが出来ない。竹の緑も新陳代謝を繰り返し、日々新生であり続けようとしているのだろう。

 人は誰しも、個性を持って生まれてきている。その個性は、発達の違いとして表れる。感じ方も違えば、考え方も異なる。

 例えば自分はこう思うが、相手は違う考え方をするかも知れない。この違いを埋めようとするのは大事である。が、その違いは、そう簡単に埋められるものではない。

 なぜなら、感じ方や考え方はその人の育ってきた環境に大きく影響されるからだ。これを本果妙という。学歴などがその一例である。やってきた・受けてきたことは、自身を裏切らない。

 同時に自身のこれからを左右するのは、今後の取り組みにかかっている。困難と思われることが、その人を鍛え、伸ばしている例は枚挙に暇がない。これを本因妙という。

 してみると、親の七光で失敗するのは、本果妙である。逆に周りに支援を求め力を蓄えていくのは、本因妙である。

 肥料をやりすぎると、肥料負けしてしまう。水だけやったのでは、丈夫に育たない。このさじ加減ほど、難しいものはない。

 程よい距離感を保ち接することが出来れば、人が生きやすい社会となる。この距離感が、今の日本に欠けているのではないだろうか。